佐伯さん切ない…

「やが君」第7巻を読んだ

いや~良かった。しかし内容に触れるとネタバレになるので、あとがきについて。

「佐伯沙弥香について」

に触れられていた。その時、私は漸く気付いた。彼女もまた、「やがて君に」なった者の一人であることに。

侑と同じく、先輩によって

彼女は侑と同じく、先輩によって同性愛に目覚めた人だ。*1彼女は元々ヘテロセクシュァルだったが、「先輩」に告白されたことによってホモセクシュァルになった。

報われない恋

彼女に告白した先輩は、彼女を裏切った。先輩にその自覚がなくても、結果的にそうなった。先輩は結局、「女どうしっていうのは変だし…」と彼女を振った。その時に彼女が感じた困惑は、妥当なものだろう。「あなたのせいで、私はこうなったのに」

転機

高校の入学式で、彼女は七海に一目惚れした。当初は完璧で隙の無い七海を見ていたが、7巻の時には弱さも含めて好きだと言っている。*2

侑なしには、なかった告白

これも切ない。侑が七海を変えたから、彼女は七海に告白することができた。しかし、侑に出会うまでの七海に強引に告白しても、ただ拒絶されただけだっただろう。まあ、侑のおかげで七海はちゃんと彼女の気持ちに向き合ったから、まだマシかもしれない。

彼女に幸福があらんことを

二度も報われない恋に落ちた彼女だが、その人生に、よき出会いがあることを願って。*3

*1:同性愛という名前がついて文節化されているだけで、本質的には誰かを愛するということに変わりはない。また、性的指向は経験、つまり記憶に大きな影響を受ける。実兄にレイプされて同性愛者になった少女もいる。日本社会は女性恐怖による女性嫌悪によって、同性愛的なつながり=ホモソーシャルを持つ。

*2:すべての人間は、過去の経験によって形成される記憶に影響を受ける。記憶が人格であると言ってもいい。彼女が「強く美しい」七海に一目惚れした理由は、先輩に無責任に振り回された過去の自分を「弱い」存在だと捉えていたから?

*3:私は自分自身の恋愛に尻込みしているだけで、他人の恋愛に共感?することはある。興味深い物語を、外から眺めるように。