死角を行く

私には、特定の人(特に私の前を歩く人など)の死角を歩く癖がある。


私は殺し屋ではないが、「目立ちたくない」人間は恐らく、自然と人の視線を掻い潜る癖がついてしまう。


今日はたまたま、部活の顧問の死角を歩くことになった。彼の右斜め前方に、私の部の部員がいた。つまり、彼はこれから右前方を向くだろう。だから私は、彼の左斜め後方を歩けばいい。


こういう計算を殆んど無意識にしている。今日はそれが裏目に出た。「お前、今瞬間移動しただろう?」顧問が言った。


顧問のこういうノリは、かなり長く続くため、正直面倒である。今日もそれを引き摺られた。


「いや、お前がそうやって誤魔化しても俺にはわかる。お前は瞬間移動した。」これが延々続いた…