回顧

以前は、自殺用の刃物を携帯していた。ギリギリ銃等法違反になる長さの。


多いときは7本持っていた。ナイフがないときは、直ぐに死ぬ方法を探した。


「どこでも、いつでも死ねる」という安心感、束の間の安らぎが、自分の心を癒した。体育の授業中でナイフを持てず、低地だから、飛び降り自殺もできないときは、気が気じゃなかった。


たまに、踏み切りや駅のホームで、線路に吸い込まれそうになった。文字通り、体が勝手に動く。そういうときは、ひたすら自我を保って、電車が過ぎるのを待った。


今日、ナイフを一本も持っていないことに、何より、常にナイフの所在を把握していた自分が、ナイフの不在に気づかずにいたことに、驚いた。