ワナゴの辞典 フェミニズム
- 男性学
- なら、どう考える?
- バイアスによる分断
- バイアスが形成される仕組み
- じゃあ男は何なの?
- この国の自己責任論は
- それってどういうこと?
- じゃあ、男はどうする?
- 男はどうなる?
- 差別は他にも
- 男はどうすれば良い?
- 最後に
- あなたは気付いていますか?
先ず最初に断っておく。
独裁者がいなかった世界に、「民主主義」という言葉は生まれない。最初から民主主義があるからだ。ブラック企業がいなかった世界に、「労働組合」は存在しない。その必要がないからだ。
つまり、「フェミニズム」がある世界には必然、女性差別がある。それがわからない人は、人権という言葉の意味を調べた方が良い。この記事を読んでも、何も得られないだろうから。
男性学
フェミニズム的知見からなら、これは基本的に、「男性優位への幻想」という言葉で片付けられてしまうものである。
しかし、男による男性学、つまり「メンズリブ」的な考え方も、私にはしっくり来ない。あまりにも、男にとって都合が良いと感じるからだ。
なら、どう考える?
これもまた、女性差別が存在することと同じように、説明することができる。
「男性優位への幻想」は果たして、ホモソーシャル社会における、ヒエラルキーでの競争が要請するところだろうか?
確かに、それもまた大きな要因であると思われる。しかし、男が女を差別するように、女性もまた、男に対してステレオタイプを持っている。
バイアスによる分断
女性は幼い頃からずっと、下らないことで「我先に」と争っている男たちを見てきた。
「我先にと急ぐのが、男の幼稚なところだと思う。」
バイアスが形成される仕組み
人間の脳は、一千億もの神経細胞ニューロンの固まり。そして、それらが互いに結びついたニューラルネットワークが、人間の高度な知的作業を支えている。
そして、多く刺激を受けるニューラルネットワークは強化され、あまり刺激を受けないネットワークは最適化される。
つまり端的に言えば、幼い頃からずっと男の争いを見続ければ、女性は「男って…*2」と感じ、「男=競争」というステレオタイプが形成されること請け合いである。*3
じゃあ男は何なの?
私は、自己責任論という文化が仕立て上げた、「完璧主義/自己批判」*4が原因であると考える。
自己責任論は現代日本において、全体主義的な考え方を前提としている。
自己責任論には、「個人」をそれを主張する主体とした「能動的」なもの*5と、「集団」をそれを主張する主体とした「受動的」なもの*6がある。
この国の自己責任論は
後者である。前者は主体的な競争を促し、社会に好影響を与えることもある。*7しかし後者は、いたずらに個人に失敗することへの恐怖を与える。*8その結果として、個人は挑戦を避け、「失敗しない」よう、死んだように生きる。
これが生み出したものが、「完璧主義/自己批判」である。
それってどういうこと?
完璧主義
完璧主義は言い換えれば、「粗を許さない考え方」である。「粗」を「失敗」と置き換えてもいい。*9
しかしこれはいわば、「消極的完璧主義」である。「絶対に、妥協しない」とかいうような、職人気質の人が「挑戦」する過程での完璧主義ではない。「非完璧忌避主義」と言ってもいい。
自己批判
これは集団の規範意識*10が、個人を深く汚染した結果である。順を追って見て行こう。
ミーム汚染
先ず、その人の周りの人が「死んだら負け」だのと言う。すると、その言葉は、それを聞いた人に「感染」する。
人間は言葉を使ってのみ、考えることができる。つまり、他人の言葉=「他人が考える手段」を記憶したその人は、その言葉の分だけ、他人の考え方に汚染される。
ミーム汚染が深くなる
するといつの間にか、「どんな不利益を被ったとしてもそれは、その決定の主体にのみ責任がある」という考え方は、他人ではなく、その人のものとなってしまう。
自己批判へ…
更に、前述した完璧主義がまた、厄介な存在である。その人は、自分自身の「粗」を探し始める。私が考えるなら、「身長が低い」「頭が大きい」など。
説明が長くなった。これが、自己責任論が劣等感を形成する過程である。
男はどうなる?
特に、集団の「空気を読む」能力が高い人は、差別に傾倒するだろう。集団が患っている自己責任論という病を全身に浴びて、彼は更に女性蔑視を悪化させて行く。
差別は他にも
この国には、まだまだ都合の良い差別がある。流石は人権においても後進国である日本だ、差別のバラエティーに事欠かない。
年功序列
これ依存する老人は、「最近の若い者は…全く、礼儀が」云々。
生産性差別
これに依存する中年男は、「君は、まだ高校生なんでしょ?/老害が生きているから、改革が進まない。」
男はどうすれば良い?
ステレオタイプによって、珍しくフェミニズムの見解が誤っていて、自己防衛的な心理によって、メンズリブは生ぬるい。これは難しい問題だ。
私は
メタ認知した。私の16年すべての、印象的な出来事について考えた。そのおかげで私は自殺を遂げることなく、今もなぜか生きている。
認知行動療法、と言うのだろうか。「自己精神分析」?しかしこれをオススメすることはできない。
実は今もそれをしているのだが、かなりしんどい。いつもの自己防衛的な考え方では無意味だからだ。自己を「他者」として、徹底的に客観視する。
「考えたくない」、耳が痛いなんてレベルではないことを、ひたすら考えて、考えて、考えて、考えて、考える。その先にしかメタ認知はない。
最後に
この日本、いや世界の人々が、あらゆる属性、あらゆるバイアスを越えて、互いを対等な人間であると認識し、分断が崩壊し、再び自立した個人が緩くつながる、そんな社会を願って、この記事を締めたいと思います。
こんな長い文をここまで読んだ物好きさんたちが、何か一つでも、気付いてくれたら幸いです。
*1:『少女』?
*2:何でこんな下らないことで争うの?
*3:脳とバイアスについてかなりざっくり、端的に説明したので、ちゃんと勉強したい人は参考にしないでください。
*5:「私は、何をすることだってできる!」『達成可能』という幻想を信仰することによって、個人は希望を見る。
*6:「どんな不利益なことの責任も、私達は負わない。すべてお前のせいだ。」言うなれば、『無達成不可能』という不条理を感じさせられることによって、個人は絶望を見る。
*7:しかし競争がある限りにおいて、平等は存在しない。
*8:あなたは、何かに挑戦して失敗したら「お前のせいだ」と言われ、「失敗した」ことの責任ばかりが取り沙汰され、「挑戦した」ことが歯牙にもかけられず忘れられる社会で、何かに挑戦したいと思えるだろうか?
*9:挑戦を避け、失敗を恐れる。
*11:過ぎだすいみゃくという女性は名誉男性であるから、中年男に数えて差し支えないだろう。
*12:ここにあるのはあくまで、マイノリティを差別する人の、紋切り型の常套句である。本当に、差別主義者は面白いほどに、似たようなことしか言わない。いや、「言えない」?少なくとも私は、(無意識下ではわからないが、)意識下ではこんなことを考えたことはない。